これから書くことは僕の身に起こった信じられない物語、と思いきや全く誰の身にも起こっていないありそうで全然あり得ない物語である。
ことの発端は"オウムが喋るならハトも本当は喋れるのではないか?"と考えたことからだ。
公園に座り、無邪気にハトを蹴り回す子どもを見て思った。
これがオウムだったら、動物愛護的には結構グレーゾーンなのではないか、
そもそもオウムを蹴ろうとしたら自分で口でヤメろと言える可能性もある。
同じ鳥なのに、嫌なことを嫌だと言えないハトが急にかわいそうに思えた。
子どもが走り去った後、そのハトに呟いた。
横『なぁ、何もしてないのに蹴るなんてあんまりだよなぁ』
・・・『まぁ、今子どもに攻撃したらハト全体が人間社会から危険視されてしまうからなぁ』
横『?!?』
なんだ何が起こった、誰が俺の会話を聞いている?!というかこの恥ずかしい回想から丸ごと誰かに盗聴されていたのか?
見回しても誰もいない
ハト『俺だよ俺』
声の主はハトだった。
横『お前、喋れるのか?!』
ハト『まあ、こんだけ人間社会と密接して暮らしてたらなぁ、日本語はまだまだだけど、英語はTOEIC890だったよ』
?!こいつ、全然喋れるし英語に関しては俺よりできるぞ。
横『お前!、喋れるのか?』
ハト『まあ、食べ物を確保するために人間の言葉はわかっといたほうがいいからなぁ、その方がハトネットワークでも正規雇用で採用されやすいし』
どうやら、ハトの社会でも別の言語が話せると就職時に有利らしい。
そしてさっきから俺は『お前!喋れるのか?』しか言ってない。
ハトのがよっぽど日本語話してやがる。
横『まあ、お前たちが実は喋れるのはわかった。でもなんで蹴られても嫌だって言わないんだ?』
ハト『お前ら人間はやめろって言ってやめるやつでもないだろ、気味悪がられて殺されるのがオチだ』
こいつら、人間よりも人間の本質を分かってやがる
ハト『だから蹴ってきた子どもの顔を覚えて、チャンスを伺い間接的に復讐するのさ、
例えばそいつが中学生の時は音楽の授業前にリコーダー盗んだり、
体育の前には靴を盗んだりする。
ロッカーに偽のラブレターを入れて公園に呼び出したり、
受験期には鳥インフルエンザを移したりもする。
より執念深いハトだとそいつが一大イベントで遅刻できない時の電車にぶつかって遅延させたり、カラスに依頼してスーツにフンを落としてもらったりする。』
横『おいおい、人間よりもよっぽど恐ろしいなお前ら、、、 ってか待てよ?』
今言ったこと全部俺の過去に起こったことだぞ?
ハト『これらの復讐が終わった後、最終的に囲んで殺すこともある』
突然目の前のハトが自分に飛びかかり目をつぶす。
四方からハトが飛んできて俺を攻撃する。
思い出した、俺も昔蹴っていた
無邪気に、生き物を踏みにじった報いか。
ハト『ようやく思い出したか、俺はお前が5歳の頃に蹴ったハトだ』
俺は今から殺されるのだ。
霞む視界に無数のハトが群がる。